映画「MERU/メルー」ネタバレ感想:至極のヒマラヤ未踏峰挑戦ドキュメンタリー!
難攻不落の「世界一の壁」と呼ばれるヒマラヤ・メルー峰シャークスフィン登頂の模様を捉えたドキュメンタリー。北インド高度6500mにそびえるヒマラヤ・メルー峰のシャークスフィンは、連続する障害壁などから多くのクライマーにとって悪夢の山とされ、だからこそ挑戦せずにはいられない難攻不落の壁として知られている。2008年10月、コンラッド・アンカー、ジミー・チン、レナン・オズタークの3人のアルピニストがこのメルー峰に挑み、7日のツアー予定は、結果的に倍以上の日数を要する大チャレンジとなった。本作の監督も務め、「ナショナル・ジオグラフィック」の山岳カメラマンでもあるジミー・チンは、2台の小型カメラでこのチャレンジの一部始終を記録。大自然の脅威に果敢に立ち向かう3人のクライマーたちの姿を圧倒的な映像で描き、2015年のサンダンス映画祭で観客賞を受賞した。
満足度 ★★★★☆
やっと観た。面白かった! 登山映画といえば少し前に「エベレスト3D」があったけど、やっぱりドキュメントの方が生々しさや感情をダイレクトに見て取れて好き。
そもそも”メルー”が山の名前だったなんて知らなかったし、山岳カメラマンの裏側を見れて色々と新発見がありました。
ざっくりあらすじ~
2008年、ヒマラヤ・メルー峰にコンラッド・アンカー、ジミー・チン、レナン・オズタークの3人で人類初登頂を目指しアタック
↓
登頂目前で食事や燃料が全て切れ敗退
↓
ジミー、レナンがそれぞれ雪崩やアクシデントに見舞われる。レナンは頭蓋骨骨折など重体に。ジミーも無事ではあったけど人生を見つめ直す…
↓
復活! 2011年、三人でメルー峰にリベンジ!
↓
エンディング
相変わらずざっくりし過ぎではあるけど、だからこそ三人にとても魅了される。
当時の本人たちの映像と現在? のインタビュー、それに彼らの家族や友人の話しを交えて進行していくスタイルで、とてもシンプルな構成だけどどこのシーンも目が離せなかった。
特に山に取り付いている彼らのシーンは、何だかこちらが息苦しくなるようだった。正直、観ていて「あ、これもしかしてダメだったんじゃ…」と思うシーンが何度もある。それこそ最後まで本当に登頂出来るのかハラハラして観ていた。
この臨場感はドキュメンタリー映画ならでは。
ナショナル・ジオグラフィックのカメラマン、ジミー・チンと世界的なクライマー、コンラッド・アンカー、この二人はもちろん凄かった。
でも僕は一番の若手で、大怪我からカムバックして登頂を果たしたレナン・オズタークが一番印象に残っている。
彼は家を持たず、いつも登る岩を考え、そして登るクライマーだった。そしてコンラッドに誘われメルーに挑戦するんだけど、敗退後ジミーとスノーボーダー達との仕事で入った山でアクシデントに見舞われてしまう。
頭蓋骨が見えるほどの大怪我をしてしまうんだけど、次のメルーへのアタックは5ヶ月後。
普通そんなことになったら登らないでしょ…
医者に「もう一生歩けなくなるかも」なんてことまで言われたら。それでも彼は諦めなかった。一度目の敗退がそんなに悔しかったの? 一度目の敗退で二人に迷惑をかけたと自責の念にかられてるの?
僕にはさっぱり分からなかった。
二度目の挑戦では途中、彼は体調を崩します。「あれ? 今何やってるんだっけ…」なんてことを言いだし、遂にはテントで倒れてしまいます。
コンラッドとジミーもレナンの状況を理解します。僕もここで「もうだめか…」って思ってた。
翌日、奇跡的に体調が回復しレナンは自分の仕事をこなします。そして翌日には頂上を踏むわけですが…
のちに彼はインタビューで当時の心境をこう振り返ります。自分の荷は心配してくれる二人に上げてもらったけど…
「今、下りたら自分を許せない」
そんな風に思っていたんだ。更に頂上で一言。「これで僕もチームの一員だ!」
なるほど。
コンラッドとジミーは10年以上コンビを組んでいるらしく、対してレナンは前回敗退したメルーへのアタックで初参加。
世界的な二人の先輩クライマーに認めてもらいたかっただろうし、足を引っ張りたくなかったんだろうか。
世界的な登山家、クライマー程すでに亡くなっていることが多い。もしくはケガを負ってもうハードな山行が出来なかったり…
そういう意味でベテランのコンラッド、ジミーは最早レジェンド。生きる伝説だ。
人生でこの二人とチームを組めるなんて、そう何度もあることではない。。。と、僕ですら思う。
自身もハードなクライマーなら尚更そう思っていたのかもしれない。
「なんでそこまでして山なんて登るの?」よく聞く言葉。
山に興味のない人からすればそうかもしれない。それは僕も理解している。
でも彼らはその”山”に人生どころか文字通り命まで懸けている。今回はメルーという未踏峰でもあったので尚更だ。
興味ない人からすると「そんなこと」かもしれない。でも死ぬかもしれない程のリスクを承知で夢に向かう姿はとても美しいと思う。
人生はただ一度、自分の命を懸けれるほど一生懸命になるって素晴らしい。
ではでは