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映画「グレートウォール」ネタバレ感想:イーモウワールド全開!アクションも凄いけど”信任”という素敵な言葉に出会えるよ!

グレートウォール

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満足度 ★★★★☆

 

こういうの好き。モンスターVS人類と分かりやすい構図にキングダムや三国志のような中華フレーバー、そして主演が何故かマット・デイモンという、そのアンバランスがいい。「なぜ中華の映画で白人が主演?」など賛否両論あるそうだけど、「こまけぇこたぁいいんだよ」な僕は凄く楽しめた!

 

 

解説&予告

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「HERO」「LOVERS」などの武侠映画から「初恋のきた道」「単騎、千里を走る。」といったヒューマンドラマまで幅広い作品を手がけ、2008年の北京オリンピックで開幕式の演出も担当した中国を代表する巨匠チャン・イーモウが、「ジェイソン・ボーン」シリーズで知られるハリウッドスターのマット・デイモンを主演に迎え、万里の長城を舞台に繰り広げられる壮絶な戦いを描いた中国・アメリカ合作のアクション大作。金と名声のためだけに強大な武器を求めて世界を旅し、万里の長城へとたどり着いた、デイモン扮する傭兵ウィリアムが、60年に一度現れる圧倒的な敵を前に団結して戦う仲間と出会い、その中で戦う理由を見出していく。長城を守る司令官役でジン・ティエン、長城に潜む謎めいた男でウィレム・デフォーらが共演。

グレートウォール : 作品情報 - 映画.com

 

監督

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監督はこの方、チャン・イーモウ。

イーモウワールド全開! なんて言っておいて監督の映画はこれが初めて。チャン・ツィイーを世界に送り出したなんて説明を見て、「おぉ」と思った程度。いいのいいのこれから覚えていけば。本作で少し監督の世界観を垣間見えた。こういう監督好き。

 

中国・西安出身。北京電影学院撮影学科を卒業後、チェン・カイコー監督の作品に撮影監督として参加する。監督デビュー作「紅いコーリャン」(87)でベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞。ベネチア国際映画祭では「秋菊の物語」(92)、「あの子を探して」(99)が金獅子賞を受賞し、カンヌ国際映画祭では「活きる」(94)が審査員特別グランプリと、3大映画祭で高い評価を得る。文化大革命後にデビューした「第5世代」の監督のなかでも、ずば抜けた存在。多くの作品に女優コン・リーを起用し、「初恋のきた道」(99)ではチャン・ツィイーを世界に送り出した。02年の娯楽大作「HERO」で新境地を開拓し、米アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。05年には高倉健を主演に迎えた日中合作映画「単騎、千里を走る。」も製作。08年の北京五輪では開会式・閉会式の総合演出を担当した。

チャン・イーモウ - 映画.com

 

キャスト

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主演はみんな大好きマット・デイモン。最近は地球外惑星で遭難する役ばかりのイメージなんだよなぁ・・・僕の彼へのイメージはやっぱりオーシャンズシリーズのマット・デイモン。あぶない刑事の仲村トオルポジションのような後輩キャラ。そんなマット・デイモンも47歳。意外といっててびっくり、でも本作では年齢を感じさせない体のキレを披露していたのでご安心を。

 

 

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そして紅一点のリン隊長役にジン・ティエン。先日の「キングコング:髑髏島の巨神」での学者然とした雰囲気とは打って変わり、本作では男らしさ全開の禁軍の隊長役で出演。本作はオーディションで勝ち取った模様。そして驚きなのが英語での演技は初だとか。この作品の為にロスに越し、自分で英語の先生を雇って流暢な英会話を身に着けたらしい。凄いよねぇ。こういうの知ると応援したくなる。

 

 

その他

・マット・デイモン  ウィリアム・ガリン

・ジン・ティエン  リン・メイ司令官

・ペドロ・パスカル  ペロ・トバール

・ウィレム・デフォー  バラード

・アンディ・ラウ  ワン軍師

 

感想

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ストーリーはとても簡単で60年に一度、人類を戒めるためにモンスターの饕餮(とうてつが首都目がけて突撃してくるっつーのを手前の万里の長城で食い止める話。このモンスターのキャラデザもいい感じにキモくて怖い。目の位置をあそこにした意味ね…

 

ハリウッドでは「なぜ主演が白人のマット・デイモンなんだい?」と随分いじられていた模様。おかげで珍品扱いだとか…なんていう記事を読んだ。

そりゃあそうなんだけど、ラストサムライのトム・クルーズだってサムライ映画に馴染んでいたことだし…僕は特に気にならなかった。むしろマット・デイモンで良かったよ! あの人イメージ的に弓矢が似合うもの(ウィリアムは弓が得意)。

 

そしてウィリアム(マット・デイモン)一行の禁軍への入り方や馴染んでいく様子も多少強引ではあったけど自然と言える範疇だった。友人で一緒に捕らわれたトバール(ペドロ・パスカル)や25年前から万里の長城に幽閉、というかもはや住人と化しているバラード(ウィレム・デフォー)についても欧米人ではあるけど浮いたりしていなかった。

 

そんな男だらけの戦場の中で目を引いたのがリン隊長ことジン・ティエン! 可愛かったね~。もはやマット・デイモンやその他はどうでもよくてリンちゃんが生き残るのか死んでしまうのかだけが心配だった。

 

だってさ、鶴隊だっけ? 万里の長城から敵目がけて槍だけ持ってミョ~ンてバンジーするんだよ? 「間違いなく死ぬだろwwwwwwww」と誰もが思うよね、あれは。

あれ考案したの誰だよ……この映画の中で違和感というか「何でwwwwwwwww」と思う点の二つのうちの一つがこれ。

 

結果、リンちゃんは最後まで生き残って北西地方の将軍に出世したので満足。マット・デイモンとロマンスになりそうな雰囲気もありつつ最後まで何もなかったのもいい。

 

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バンジーでミョ~ンな鶴隊の話が出たのでもう一つの気になったところ。

シャオ将軍(チャン・ハンユー)は何故自ら警備の薄い場所へ出向いたのか? リンちゃんも同行していたようだけど普通将軍自ら最前線へは出向かないよね? ここは何だか腑に落ちない…というかリンちゃんが司令官となる為に必要なシーンなんだろうけど、少し強引すぎた感があったなぁ。

 

ついでに言うと隊長がリンちゃん以外に三人いたけど、いくら生え抜きとはいえリンちゃんを指令に指名したというのもアレだよね…ほかの三人が無能なのかリンちゃんが別格過ぎるのか…

まぁ「こまけぇこたぁいいんだよ!」というやつだね。

 

なんてったってこの映画の見どころは戦闘シーンだもの! 各部隊ごとに色分けされた鎧なんて中二心をくすぐられるよね。正直リンちゃん以外の隊長達の活躍が足りなかったのは少し物足りなさを感じた…小隊、中隊レベルの隊長もキャラとして欲しかった! もっと言えば秦が誇る”六大将軍”、”三大天”、”怪鳥”などキングダムのような二つ名のあるキャラがいればもっと盛り上がったのに。男はこういうキャラ大好きだもの。

 

それ以外の戦闘シーンは適度にグロく、生々しさもあって良かったと思う。敵の饕餮(とうてつ)は言葉を話さない四足歩行の獣、女王制で女王をやっつければその他の仲間も死ぬ。イルカのようにエコーで意思疎通出来るという設定。ライオンやトラのように獰猛だけど、磁場を発する石に弱いお茶目さん。

この饕餮も自然破壊を繰り返す人間への復讐というメタファーなんだろうか。

 

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戦闘がこの映画の醍醐味というのは間違いない。チャン・イーモウ監督といえば「HERO」「LOVERS」はじめ北京オリンピックの開幕式も手掛けるアクション映画の巨匠、アクションが面白くないわけがない。同時に「初恋のきた道」「単騎、千里を走る。」というヒューマンドラマも得意…らしい。僕はまだ見たことないからね。

この映画を観て感じたどこか温かいモノの正体はきっとこれ。

 

はじめウィリアムは私利私欲の為に禁軍へ取り入るわけだけど、「信任(シンレン)」を学ぶ。一番好きなシーンはここかもしれない。

 

…壁にて

ウ「シンレン?」

 

リン「これは中国語で信頼する、信じるという意味だ」

リン「誠意をもって信頼する」

リン「信任が私たちの旗だ。私達は互いを信頼する。全てについて。どんな時でも」

 

ウ「うん、それはとてもいいことだと思う。でも俺は飛ばない。俺が生きてこれたのは俺がだれも信用しなかったからなんだ」

 

リン「人を信じることが出来ない人間は、誰にも信じてもらえない」

 

リンちゃんかっけぇ。

ウィリアムもこんなこと言ってはいたけど、ここの生活や戦い、リンちゃんの人間性に影響を受けてどんどんいい顔になっていく。ラストじゃすっかり”信任”を体現したような戦いをする。短い時間ながらウィリアムの成長も上手に描けていたと思う。

中国語って漢字二文字くらいで含蓄のある言葉を表せて便利だよね。

 

ということで、アクションも人間ドラマもバランス良く配合された作品でした。ちなみに僕は2D鑑賞したんだけど、IMAX 3D、MX 4D、4DX鑑賞の方が良いかもしれない。是非、巨大スクリーンでどうぞ。

 

 

ではでは