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映画「夜は短し歩けよ乙女」ネタバレ感想:森見×湯浅ワールド全開で楽しめた!尺が足りないのが残念…

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「四畳半神話大系」「有頂天家族」などで知られる人気作家・森見登美彦の初期ベストセラー作品で、黒髪の乙女に思いを寄せる冴えない大学生の物語をユーモラスに描いた「夜は短し歩けよ乙女」をアニメーション映画化。監督は、テレビアニメ化された「四畳半神話大系」や「マインド・ゲーム」「ピンポン THE ANIMATION」など独特な表現手法のアニメ作品で人気の湯浅政明。同じく「四畳半神話大系」も手がけた、劇団「ヨーロッパ企画」の上田誠が脚本を担当。シンガーソングライターのほか、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」などで役者としても人気の星野源が、主人公の声を担当した。所属クラブの後輩である「黒髪の乙女」に恋心を抱く大学生の「先輩」は、「なるべく彼女の目に留まる」ことを目的とした「ナカメ作戦」を実行する日々を送っていた。個性豊かな仲間が巻き起こす珍事件に巻き込まれながら季節はめぐっていくが、黒髪の乙女との関係は外堀を埋めるばかりでなかなか進展せず……。

夜は短し歩けよ乙女 : 作品情報 - 映画.com

 

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満足度 ★★★☆☆

 

賛否あるようだけど面白かった。TVアニメで放送しても楽しめるんだろうけど、僕はギュッと圧縮された映画の方が良かったんじゃないかと……というのも僕は森見登美彦作品がどうも苦手な節がある。本作の小説も読むには読んだが、正直少し辛かった…

ちなみに四畳半神話大系、有頂天家族はアニメで観た。原作は未読。

 

つまり僕の場合、森見作品という素材に湯浅(監督)フレーバーをまぶさないと面白さが半減してしまうんだと思う。キャラ原案の中村佑介氏の絵も好きなのも大きい。こんな人、他にもいるだろうか? さらにいうと四畳半より有頂天家族の方が好きだったり。

 

じゃあ何故観たんだ? という話だけど、単純に世界観が好き。京都という街も好きだし。とにかくあの奇想天外で洒落た雰囲気には中毒性がある。そんな世界を巨大スクリーンで思う存分堪能してみたいと思った。そうでないと雨の中わざわざお金を払って劇場に足を運ばない。結果、大正解だった。

 

原作発売は'06年、僕も読むには読んだが内容はほとんど忘れていた。だからこそ楽しめたのかもしれないけれど、原作では春夏秋冬で進行していく内容を映画では一晩で完結させるなどオリジナル脚本も多々ある。でも僕は覚えてないのでセーフ。一晩で完結したんだから、それこそ簡潔にまとまっていて観やすかった。

森見ファンからはこの改変に賛否が集まっているようで。

 

あまり覚えていないとはいえ、見始めると「あ~そうそう、確かそんな内容だったわ」とうっすら内容を思い出し始める。そして森見作品の共通点を発見し、その他の共通点を何となく探し始める。こんな観方が出来るのも森見作品の楽しさの一つだ。

樋口師匠、李白、偽電気ブラン、小津…あと何かあったっけ…

とにかく他の森見作品に出てくるアイテムや人々、こういったにくい演出は大好物。というか本作は四畳半神話大系の続編ということでいいのかしら?

 

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本作の本筋は先輩と黒髪の乙女の青春恋愛物語なんだけど、そこまで恋愛恋愛してないのが個人的にはいい。「なるべく彼女の目に留まる」ことを目的とした「ナカメ作戦」と予告でも随分印象を強く残し、「恋愛成分強め?」なんて感じてしまうがそんなことはない。

この辺りはアニメで全12話だったりするともう少し丁寧に描かれるんだろうね。きっと本作だけだと「黒髪の乙女は何をもって先輩に惚れたんだ?」と動機の弱さに「?」となってしまうかもしれない。

……いや、ナカメ作戦の大勝利という訳か

 

とにかくそんな訳で恋愛要素もほどほどに物語は進行していく。黒髪の乙女が一人称視点で天真爛漫にどんどん話を進めてくれるのでテンポがいい。この映画のタイトル通り、「夜は短し歩けよ乙女」まさにこれ。

本作では「いかに乙女を魅力的に描くか?」というところに全力したんだろうなと伺える。そして93分という上映時間でそれは十分に伝わった。

 

そしてCV星野源ですよ。

思ったよりハマっていてびっくり。普段アニメなんか見ていると、こういった配役に「けっ、また話題作りに歌手やら俳優やらに声優やらせやがって…」なんて思う訳です。でも先輩役はバッチリ。いい感じのDT臭。そして絶妙な残念加減。ほんとマルチだねこの人。まぁTVアニメとなるとワンクール時間の縛りが出来てしまうので、映画だからこその配役なのかもしれないね。

 

そして樋口師匠のCVといえば、みんな大好き藤原啓治なんだけど病気療養中の為本作では中井和哉が担当。そして違和感なし。ロバート秋山も馴染んでいたし、ザーさん、神谷浩史は言わずもがな。その他、脇を固める声優陣が豪華でアニメファンも十分楽しめたんじゃなかろうか。

 

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そんなわけで、森見ワールドもとい湯浅ワールドを思い切り堪能できたので個人的に満足。93分という短い時間の中でこれでもかという位上手く圧縮されていたと思う。悪く言えば中身のない乙女のプロモーションビデオなんて見方も出来てしまうけれど、それならそれでいいじゃない。

乙女可愛い→原作も買ったろ なんて人もいるかもしれないし。

 

丁度この4月の春アニメで「有頂天家族2」も始まったことだし、これを機に森見作品にどっぷり浸かるのもいいかもしれない。

 

 

ではでは