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映画「T2 トレインスポッティング」ネタバレ感想:「Choose your life!」少し物足りないけど良くも悪くも相変わらずな四人で面白かった!

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1990年代ポップカルチャーを象徴する作品として知られる96年製作のイギリス映画「トレインスポッティング」の20年ぶりとなる続編。かつて仲間たちを裏切って大金を持ち逃げしたマーク・レントンが、20年ぶりにオランダからスコットランドに戻ってくる。そこでは、パブを経営しながら売春や恐喝で荒稼ぎするシック・ボーイや家族に愛想を尽かされたスパッド、刑務所に服役中のベグビーら、当時の仲間たちが未だに悲惨な人生を送り続けていた。主演のユアン・マクレガーをはじめ、監督のダニー・ボイル、脚本のジョン・ホッジら前作のキャスト・スタッフが再結集。

T2 トレインスポッティング : 作品情報 - 映画.com

 

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満足度 ★★★★☆

 

良くも悪くも相変わらずな四人で面白かった。さすがに20年経つと頭皮の後退や皺が目立つけど、その分自分も老けているんだなぁと実感させてくれる。じゃあ中身は? 当時の悪ガキ達はびっくりする位変わっていなかった。20年、散々足掻いてきたんだろうけどまるで成長してない……でもラストシーンに少しばかり光が見えたので満足。

 

T2の公開にあたり改めて前作を見返した人も 多いだろう。それ正解。僕は見返してはいないのでユーチューブやT2関連の記事を読み漁った。なんせ前回が’96年だもの、僕は当時16歳、細かいところはさすがにうろ覚え。鮮明に覚えているのはアンダーワールドの「born slippy」、そして彼らのファッションやカルチャー。レントンが最後に裏切るっつーしょーもない話で面白いのかつまらないのかも判断できなかった。けれどとにかくとんでもなく刺激的でお洒落! てのが僕の抱いていた印象だ。

でも10代のクソガキだった頃に観れて良かったと思っている。上手く説明できないけれど。

 

そんなわけで冒頭ユアン・マクレガーが出てきた瞬間は何だか凄い嬉しかった。そして期待した。「Choose life」と謳い、当時凄く眩しくて自由の象徴のような彼がどんな決断を下していたのかと。結論から言えば少しがっかりした。前作ラストのその後、彼はオランダのアムステルダムで妻と15年の結婚生活を送っていた。そして離婚、故郷へ帰ってくる。裏切った仲間たちと再会するのだが……

 

僕自身レントンに何を期待していたのか分からないが、結局実家に戻り父と抱擁、自室でイギー・ポップのラスト・フォー・ライフのレコードをかけてエンディング。何者かになるか、別の道へスタートを切るエンドかと思ったけど特に無かった。「あぁレントンはこれからこれで生きていくんだ」など、何でもいいから一つ答えが欲しかったというのが正直な感想。

 

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本作ではちょこちょこ前作のシーンが回想のように流される。20年前の彼らなので当然若く、そして細い。「こんなひょろかったっけ?」と思うほど細い。そんな回想シーンを見るたびにいちいち懐かしむわけだが、重要なのは前作との折り合いをどうつけるかだ。体もたくましくなり、ただがむしゃらに突っ走れる歳でもない彼らが、どんな決断をしたのかがこの作品の見どころだと思うのだけど、少し肩透かしされたかなぁ

 

というか、中盤のレントンがベロニカに熱く語るシーンでこの映画の言いたいことは全部言ったった感があるよね。「フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、結局みんな中毒者だ。何かに依存して生きている」←これはT2関連の記事でよく見るけど、とにかくこれ以外にレントンがすげぇ熱く語るのよ。全然覚えてないけどね。

今の若い子が聞いたらどんな風に思うのかは分からないけど、僕はとにかくグサグサきたよ。久しぶりに誰かの言葉に聞き入った。ここが一番の見どころ、というか聴きどころじゃないかな。

 

そしてスパッド(ユエン・ブレムナー)は相変わらず最高だった。ベロニカに「小説でも書けば?」と促され前作のことを書き記すのだが、その語り口、というか文章がスパッドらしくとても優しい。ベグビーの心にも訴えかけるものがあったんだろうね。もちろん僕の心にも響いた。スパッドみたいな友達が欲しいよ。

 

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あとは「トレインスポッティング」って言葉が作中に初めて出てきたところ。全然気にしてなかったけど「鉄道マニア」ってスコットランドじゃドラッグ中毒者の暗喩なんだね。なんでも使われていない廃線がよくドラッグをキメる場所に使われていたそうで。ある意味ようやくタイトル回収したのでスッキリ。

 

前作は内容よりインパクト先行みたいな雰囲気があったけど、今回は特にメッセージ性の強い内容になっていた。前作と併せて初めて完成だよね。「前作が至高、本作は劣る」って人もいるとは思うけど、トレインスポッティングに関しては別。もうここまで来たら20年後にT3もやってほしい。T4まではいけるかな? あのスコットランドのクソガキ達はこんなおじいちゃんになりましたっつって。

 

とにかく久しぶりに四人をスクリーンで観れて良かった。

90年代当時、前作が流行っていたころ円光やらドラッグやらやっていた先輩たちは今ごろ何してるんだろう……

 

「Choose your life!」

 

ではでは