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映画「攻殻機動隊 ゴースト・イン・ザ・シェル」ネタバレ感想:スカヨハぽっちゃりし過ぎ、ダンカンこのやろう!シンガポール人トグサ…

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士郎正宗のコミックを押井守監督が映画化したSFアニメの傑作「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」を、ハリウッドで実写映画化。オリジナル作品の草薙素子に相当する主人公の少佐を、「アベンジャーズ」「LUCY ルーシー」などアクション映画でも活躍するスカーレット・ヨハンソンが演じ、少佐の上司・荒巻に、映画監督として世界的評価を受けるビートたけしが扮する。そのほか、少佐の片腕バトー役でデンマーク出身の俳優ピルウ・アスベック、テロ事件を企てる謎めいた男クゼにマイケル・ピット、オリジナルキャラクターのオウレイ博士役でフランスの名女優ジュリエット・ビノシュらが出演。監督は「スノーホワイト」のルパート・サンダース。日本語吹き替え版には田中敦子、大塚明夫、山寺宏一というアニメ版の声優が起用されている。脳とわずかな記憶を残して全身が機械化された、公安9課最強の捜査官・少佐は、全世界を揺るがすサイバーテロ事件を発端に記憶が呼び覚まされるが、そこには驚くべき過去が隠されていた。

ゴースト・イン・ザ・シェル : 作品情報 - 映画.com

 

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満足度 ★★☆☆☆ 

 

完全に別物! 少佐はあんな動きじゃないし荒巻課長もあんな893感出てない。前評判通り原作、アニメファンからすると「oh…」な仕上がりだった。スカヨハは「ミラ? 誰!?」状態、たけしは完全に一人でアウトレイジだった。百歩譲ってバトーはいいとしてトグサに至っては無名のシンガポール人俳優が演じていた。「いやいやトグサこそ日本の俳優を使うべきだろ」と誰もが思ったと思う。

ちなみに僕は漫画原作以外は見ている。一番好きなのは神山版のアニメシリーズ。

 

本国アメリカでは週末3日間の売り上げが1900万ドルと振るわず、無事爆死した模様。原作ファンは世界中にいる攻殻機動隊、特にアメリカでは1996年にビルボードのビデオ売り上げ週間一位も記録している。それだけに実写への期待も高く、鑑賞後にガッカリ……なパターンが多かったのだろうか。

 

映画関連のサイトを覗いてみると、「日本の漫画原作で主人公も日本人なのになぜスカーレット・ヨハンソンなのか?」「白人優位主義の強引な漂白映画」なんて意見も多く、映画そのものよりキャスティングや人種的な問題の議論が過熱していたとか。

制作陣もその辺りのことは加味していたようだけど、原作に忠実に…と、商業的に大衆向けに…というバランスが難しかったみたい。

 

とはいえ、正直まだスカーレット・ヨハンソンで良かったと個人的には思っている。中・韓辺りの女優に草薙素子を演じられる方が凄く違和感を感じるに違いない。「そこまでいったら日本の女優さんで誰かいるだろ!」と突っ込むに決まっている。なんだったらもう桃井かおりでいいよ、なんて具合に。

 

ところで、スカヨハ以外で適役がハリウッドにいたはずなのになぜスカヨハだったのか。草薙少佐とはイメージも肉体的にもあまりにもタイプが違う。少佐はあんなにぷよぷよしていないでしょう。まぁムッチリ感はスカヨハの良いところだもんね、でも少佐ではない。

予告でスカヨハが建物のガラスを突き破って内部へ突入するシーンがあるが、横アングルだったでしょ、しかもスローで撮っていたもんだからスカヨハのぽっちゃりが凄く強調されているよね。あれを見て「うわぁ…」と思ってしまった、というか「あ、なんか違うわ」てなった。

 

それとせっかくの攻殻機動隊で、しかもハリウッド作品なのになんであんなにアナログな動きなわけ? CGでもVRでも使ってもっとシャープな動かし方があったんじゃね?  スカヨハ本人は頑張っていたと思うんだけど、どうしてものっそり、もさっとした動きに見えちゃうよね。そもそも思ったより戦闘シーンも多くなく、激しさも無かったのでその時点で物足りなさはあるんだけれど。

 

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ハリウッドが制作してこのクオリティってのが残念だよね。アニメの実写化ってそれでなくても難しい。SFは特に。邦画の「進撃の巨人」が大爆死したのも記憶に新しいところ。今のところこれ以上の実写版攻殻は無い。とはいえ、少佐を日本の女優にしたところで評価が上がるとも思わないので、これはこれでいいんだきっと。

 

ビートたけし扮する荒巻課長もひどかった。もはや本作を見て原作やアニメも観たいと思う人はいないかもしれないけれど、荒巻課長の名誉のために言っておく。荒巻課長はとにかく賢いキレッキレの頼りになる人で公安9課の長。基本、内外との交渉や調整役、そして超有能な参謀なのだ。自分で現場の最前線へ出向くことは少ない。弁も立つし名言も多い。少佐を公安9課にスカウトしたのも課長だ。(攻殻機動隊ARISEで描かれている)

 

予告ではたけしが拳銃で相手にとどめを刺しているシーンが流れているので、さも武闘派のヤーさんのような印象を与えてしまうがそうではない。というかなぜここだけ日本人キャストにしたし……しかも英語と日本語で普通に意思疎通しちゃってるよ。「近未来だし違和感ないだろ」とか制作側は思ったのかもしれないけど、違和感ありまくりだよ。

 

字幕版で観たけど本作は吹き替えの方がいいかもしれない。

吹き替え版はアニメ版と同じ声優陣。やっぱり少佐は田中敦子、バトーは大塚明夫、トグサは山寺宏一だよね! この声で初めて攻殻機動隊でしょう。ARISEは……まぁ…うん、あれはあれでいいと思うけどやっぱり別物かなあ。つーかこんな実写映画作るくらいならこの予算をアニメに突っ込んだ方が良かったのでは? むしろそれを待ち望んでいるファンこそ世界中にいると思うんだけどなぁ…

 

せめて実写映画を観て、原作やアニメに興味を持ってくれる人が少しでも増えることを祈るばかり。

 

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この映画は世界観だけ寄せて、あとは全く別のストーリーにしてしまった方が良かったのかもしれないね。もしくは10年前に制作していたらまだ違っていたかもしれない。本作を観て改めて漫画やアニメの実写化は難しいんだなと感じた。特にSF系のアニメはクオリティが高ければ高いほど実写が寄せていくのは難しい。

 

だってそれなら押井版のゴースト・イン・ザシェル観た方がいいもの。実写化するのであれば寄せていくよりほぼオリジナルにしてくれた方が、原作ファンもまだ気持ちが割り切れる。「あぁ、これは攻殻だけど攻殻じゃないんだ」って。映画が面白ければアニメ化だってするかもしれない。

 

ともかく攻殻の黒歴史になるかもしれない、どこか残念な本作なのでした。

 

 

ではでは