映画「王様のためのホログラム」ネタバレ感想:予想外のオチ!でも観ればきっと元気になれる!
トム・ハンクスが「クラウド アトラス」のトム・ティクバ監督と再タッグを組んだ主演作。「驚くべき天才の胸もはりさけんばかりの奮闘記」や小説版「かいじゅうたちのいるところ」で知られる人気作家デイブ・エガースの小説を原作に、エリート人生から転落した主人公が、サウジアラビアの国王に最先端の映像装置「3Dホログラム」をプレゼンするために奮闘するさまを描いた。大手自転車メーカーの取締役だったアランは、業績悪化の責任を問われて会社を解任され、全てを失う。娘の養育費を払うためにIT業界に転職し、一発逆転をかけてサウジアラビアの国王に3Dホログラムを売りに行くが、到着した現地のオフィスは砂漠に立てられたテントで、Wi-Fiもつながらない。さらに、プレゼン相手の国王にはいつ会えるのかもわからず……。
満足度 ★★★★☆
予想の斜め上だった! 笑
そっちENDだったか~!!! という感じでした、僕は。色々な意味で面白い映画。
”元気をもらえるビタミンムービー”でもあるし、ロマンスムービーでもある。そしてサウジアラビアの観光推奨ムービーとも言える。
ざっくりあらすじ~
IT企業社員のアラン・クレイ(トム・ハンクス)はサウジの王様の甥と知り合いという理由でサウジの王様に自社商品のセールスへ。
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到着。でも国王の甥はいつまで経っても不在。
部下3人もだるそう…
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酒で酔ったアランは背中の脂肪腫を自分でザクー
血がドバー
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病院で女医さん(サリタ・チョウドリー)と出会う。この時点では二人とも既婚者。
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運転手のユセフ(アレクサンダー・ブラック)の実家へ行ったり、実は悪性だった脂肪腫の手術をしたり。
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王様へプレゼン。結果は…ダメ。(中国企業に持っていかれた)
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女医さんとイチャイチャ
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アメリカへは帰らずサウジでプレゼンをした会社へ転職。
お互い離婚して同棲~(結婚したのかな…)
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エンディング
端折ってるところもあるけれど大体こんな感じ。
観る前になんとなく、無理難題を会社から突き付けられたアランがサウジアラビアですったもんだの格闘の末、コンペに勝ってプライベートの問題も何かしら解決するような、いわゆる「プラダを着た悪魔」であるとか「マイインターン」のようなお仕事ムービーなのかと思っていた。
ある意味それは間違いではないけれど、この結末は予想外だった。まさか現地で出会った女性とそのまま結ばれて、その地で暮らすENDとは。しかも出会った時、二人は既婚者。(離婚調停中ではあったけど)
でもこれはこれでいいんだろう。人生は旅のようなものだし、旅にトラブルやハプニングは付き物だ。それが良いか悪いかは置いといて、予想と違っていた結末だしサウジアラビアが何だかとても魅力的だったので。
本作を観てサウジアラビアへ行ってみたいと思う人は、かなり増えるんじゃないだろうか。僕も一度行ってみたいと思うようになった。
ちなみに首都は”リヤド”という都市らしいけど、この国世界一入国に厳しいとかなんとか。仕事や家族への訪問でもない限り入国すら不可能な模様。厳しすぎワロタ
確かにアランも仕事で訪れているもんね。
どの場面を切り取っても絵になる場所。
中東、それもサウジアラビアと言えば”トーブ”と言われる白い衣装と、石油王、砂漠、ラクダ、サッカーのイメージしかなかったけれど……いや、大体それで合ってた 笑
意外だったのは海がとても綺麗だったこと。後半、その綺麗な海でシュノーケリングシーンがあったけど水中だけ見れば絶対サウジだとは気付かれないレベル。
お気に入りのシーン…というかアラン(トム・ハンクス)と彼の運転手役ユセフ(アレクサンダー・ブラック)との絡みは見ていて面白かった。ユセフ役のあの人はコメディアン出身みたいですね。
あの二人だけのロードムービーがあったら是非見てみたい。
そしてこの映画の山場はどこだったんだろう? 割と淡々と話が進んでいくので、こうドカーンッ! とした山場はない。タイトルにもなっている「ホログラム」を王様にプレゼンもするけど2~3分程度で割とサクッと終了。
ぶっちゃけタイトルを「王様のためのホログラム」にしなくても大丈夫だったんじゃね? なんて思ったけど、だからこそリアリティがあるのかもしれない。
結果を出してこい! と会社から送り出されたものの、現地ではドタバタして仕事が何も進まない。会社にいる上司からはせっつかれ部下にも対応していかないといけない。しかも戒律の都合上お酒も飲めない。
……こんなん自分だったらストレスで禿げ上がりそう。
「背中に脂肪腫があるから上手くいかないんだ」脂肪腫を切除する前、アランはそう言っていたけどそこはすごく共感できた。
別に誰かのせいにしないけど、神経質な人ほどアランのように「○○があるから」「○○のせいで」って無理やり何かの原因のせいにしちゃう。追い詰められれば追い詰められるほど。
でもいざその原因が無くなると、もう言い訳出来ないしやるしかない。手術で脂肪腫を取ったアランの仕事は好転していくけど、それは決して”脂肪腫を取ったから”だけではなくてユセフや医師ハキムとの出会いが大きかったから。もちろんプラセボ効果もあったのかもしれないけれど。
人間、本当にちょっとした出会いでガラッとその後の人生が変わっちゃうんだなって。僕は今35歳だけど、年配の人はそんな経験を必ず経験していると思うので、よりリアルに共感出来るんじゃないかなと思う。
アランはサウジに行くまで、大企業で役員を務めるほどの成功から業績悪化の為に解任されるという事故のような失敗も経験し、プライベートでも離婚調停中と散々だった。
サウジでも結果としてプレゼンに失敗したわけだから決して順風満帆ではない。
それでもユセフという素晴らしい友人や、これから第二の人生を共にするであろうハキムと出会う。
こういうのって本人が一番びっくりするんだろうなぁ 笑
アランだってまさか出張先で第二の人生が始まるだなんて、行く前は微塵も思っていなかっただろうし。
それもこれもアランが一生懸命でいいやつだから! 遅刻癖はあるけれど…
自分の人生ですら予想とは違う方向へ行ってばかり。でも腐らずマイペースでもいいから頑張っていれば、そのうち良いことだってあるさ!
なるほど確かにアランに元気をもらえる人生賛歌のような映画。
上映館が少なくて観るか迷っていたけど観て良かった!
ではでは