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映画「おとなの事情」ネタバレ感想:テンポがいいイタリアンコメディ、やっぱり他人の携帯を見てもロクなことがねぇ…

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スマートフォンの通話やメールの履歴をさらけ出すゲームをきっかけに、夫婦や友人間にさまざまな疑惑が巻き起こっていく様を描いた、イタリア製のワンシチュエーションコメディ。新婚カップルや娘の反抗期に悩む夫婦、倦怠期を迎えた2人など、食事会に集まった7人の大人たちが、「メールが届いたら全員の目の前で開くこと」「かかってきた電話にはスピーカーに切り替えて話すこと」というルールを設定し、「信頼度確認ゲーム」を開始する。ゲームが進むにつれ、夫婦間のもめ事や家庭の問題、仕事や性格についての悩みなど、7人の本当の姿が次々と露呈していく。イタリアのアカデミー賞に当たるダビッド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞、脚本賞を受賞。「人生、ここにあり!」のジュゼッペ・バッティストンらが出演。

おとなの事情 : 作品情報 - 映画.com

 

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満足度 ★★★☆☆

 

面白いのにお洒落なオチで消化不良気味……ワンシチュエーションコメディなので登場人物が多くても問題なし。話よりもイタリア人ってイチイチ洒落てんなってのが素直な感想。

 

誰もが「止 め と け(ジョン・カビラ風)」って思うよね、こんなゲーム。いい歳の大人なら誰しもやらないことをやっちまいましたってのが本作。だからきっと観客も観る前からある程度どんな話か分かって観ていたと思う。

「やべえよ…やべえよ…」「来るか…来ちゃうのか…」って少しニヤつきながらハラハラして楽しむ映画だ。

 

だからこそどうオチをつけるかがポイント、といいうか制作陣の腕の見せ所。僕もどんな風に落とすのか気になっていた。

でも意外とあっさりエンディングを迎えた。一応ペッペ(ジュゼッペ・バッティストン)のエクササイズオチがあったもののそれで終了。予告で「世界中が騙された、誰も予想できないラスト!」と謳っていたんだけど、どれのこと!? 気になって夜も眠れないよパトラッシュ。

 

あとは、一応月食パーティーってことでいいんだよね? 「〇日は月食だからロッコの家でパーティーでもしようぜ!」みたいなノリで集まったということで。月食である必要性…なんて最初は思っていたけど、月の満ち欠けが時間経過や、登場人物それぞれの心情を表すメタファーだったんだ……ろう? そう思うようにしよう。

だから最後、月が満ちて大きな満月になりロッコの家からそれぞれの帰路へ着く時には、皆穏やかに別れていったんだよねきっと。

 

もしそうじゃないとしても全体的にコメディとはいえお洒落な雰囲気の映画だったよね~

 

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ああいうゲームが始まった時に一番やっちゃいけないのが、ペッペ達のように携帯の交換をすること。ろくなことにならないし、どうせバレるのに何故やってしまうのか。まぁ僕も同じ状況なら迷わず交換してしまうはずなので、気持ちは分からなくはない。

 

そして「携帯はまさにブラックボックスだ」っていうのは現代人なら多くが理解できるよね。実際同じことをしろと言われても僕は嫌だし、嫌という人の方が圧倒的だろう。まぁ要領の良い人は本携帯には一切の痕跡を残さず、別の携帯で浮気なりするんだろうからこんなゲーム痛くもかゆくもないだろうが…

 

ブラックボックスとは言え、皆ほぼ見られたくないのは男女関係だけというのも「つまらない」というか「ですよね~」という感じで生々しかった。実際そんなもんだよね。浮気しちゃいそうな相手や、これから初めて会うかもしれない異性とのやりとりを見られたくない。ほとんどこれ。

 

彼らはペッペ以外、既婚者で分別あるいい大人だ。それでも中学生の子供のように見られたくないものだってある。付き合い何十年の幼馴染や何年も連れ添った夫婦だって同じ。ロッコが最後に言ってたね。「たくさんの個人情報が詰まっている携帯を遊びに使ってはいけない」って。

彼は妻のエヴァにとてもオープンで一番真面目で好感が持てた。あんな父ちゃんだったらなんでも相談してしまう。

 

話がとっ散らかっているけど、”他人の携帯を見てもロクなことがねえ”ってことですな。

 

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でも知りたくないこと、聞きたくないことを全てぶちまけ、暴かれてある意味良かったよね。なんなら羨ましいよ。こんな関係性なかなか無いだろうし、何年かしたらきっといい笑い話になる。こんなことでも無ければもっと大事故になっていたかもしれないし、ぶちまけることで気持ちに決心だってついたかもしれない。

なにより、秘密で嫌なことでもフォローし合える仲間がいることが大きい。皆すげえ良い人達じゃん。悪ガキ時代も想像がつくというか…

 

そしてコメディな部分だけじゃなく、ロッコの娘への言葉やペッペのホモセクシャルな問題など、ちょこちょこホロっとくる話や眉間にしわが寄ってしまうような会話も挟んでくるので、良いアクセントになっていたんじゃないかと思う。

 

ワンシチュエーションといえば真っ先に「キサラギ」を思い浮かべるけど、これからは本作も思い浮かべることになりそうだ。

 

 

ではでは