山と映画

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映画「未来よ こんにちは」ネタバレ感想:”人生が終わるわけでもない 進むだけよ”ナタリーの前向きな生き様がカッコよすぎ!

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「あの夏の子供たち」「EDEN エデン」などで注目されるフランスの若き女性監督ミア・ハンセン=ラブが、同国を代表する大女優イザベル・ユペールを主演に迎え、孤独や時の流れを受けとめながら、未来を信じて生きる女性の姿を描いた人間ドラマ。2016年・第66回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞した。パリの高校で哲学を教えているナタリーは、教師の夫と暮らし、2人の子ども独立して充実した人生を送っていた。ところがある年のバカンスシーズンを目前に、夫からは離婚を切り出され、年老いた母も他界。思いがけない出来事が次々と起こり、気が付けばおひとり様になっていたが……。

未来よ こんにちは : 作品情報 - 映画.com

 

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満足度 ★★★☆☆

 

雰囲気がとても良かった。ナタリー(イザベル・ユペール)の日常を切り取って集めたこの映画は、後味が凄くいい。僕みたいな30代の男でも楽しめた。

 

予告を見ると「もしかしたら少し寂しい展開になるのかな…」と思っていたけど、とても前向きな話で癒される。もちろんナタリーのように自分の哲学がある人だからこそ、というのもあるかもしれない。でもきっと彼女は哲学を学んでいなかったとしても凛とした人なんだろう。

 

しかし良い話も悪い話もいきなり来るよね。そしてそれは集団でやってくる。一つじゃ終わらない。言われた方は、それが大きければ大きいほど感情が高ぶるのが普通。何でもないある日、突然夫から「好きな人が出来た」と伝えられたナタリー。でも彼女は至って冷静だった。冷静というか怒りを通り越してあきれていたのか。人間、ああいう時って思考停止してしばらく何も考えられなくなるよねぇ。

 

夫と別居することより、別荘にある庭をとても気にしていた辺りがとても印象的だった。夫達と一から作り上げた、沢山の思い出が詰まった庭。夫のことを想う気持ち以上に庭への愛を感じた。この辺りがお洒落だなぁ、というかフランスらしいなぁと。

離婚や母の施設等、この映画には慰謝料やその他の費用について金銭的な話が一切出てこない。離婚にあたって弁護士も無し。これもお国柄なのかな。

 

母の死も同様に、しっかり咀嚼して受け止めていたように思う。お母さんもバツ3でなかなかの苦労人だったんだね。ナタリーも何だかんだでお母さんのことが好きそうだった。僕はまだ介護の経験はないけど今から震えてる。ナタリーと同じく一人っ子だし、父も既に他界しているから。ナタリーみたいに上手く仕事も介護も出来る自信は一切なし。

 

かく言う僕の母も「長生きしてね。はいいけど、長生きされ過ぎてもこっちが疲れて先に死んじゃうよ 笑」と僕の祖母のことを話していたなぁ。

ナタリーの母は、ある意味ピンピンコロリだもんね。ブログだから言えることだけど、親子にとってこれが一番お互い幸せかもなぁ……

 

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教え子のファビアン(ロマン・コリンカ)とはロマンスがあるのか!? なんて思わずにはいられなかったけど無くて残念……ではなくてホッとした。最後は袂を分かつけど良い師弟関係だよね、ああいうの。

しかしヨーロッパの若者は政治に関心が高いね。教養が無いので他のEU各国のことは分からんけど、ストで交通機関がマヒなんてニュースでもよく見るし、なんか色々無駄にアクティブだわ。

 

思うにナタリーが若々しいのは、ファビアンとの付き合いが定期的にあったからというのもあるかもしれないね。一緒に仕事もしていたようだし元教え子とは言え、ああいう”お気に入り”な存在がいるのは大きい。

まぁ、ナタリーはそれでなくても高校教師ということで、若者と毎日顔を合わせているんだけども。

 

そんなファビアンが友人と買ったという、山の麓の家でナタリーは言っていた。

”人生が終わるわけでもない 進むだけよ”

かっけぇ。ナタリーの力強いところはこれだよね。離婚、母の死、ファビアンとの別れも何かが起きると一度は立ち止まるけど、しっかり受け止めてからまた進み始めるところ。諸行無常、人生、突然に色々なことがあるけど、ナタリーのように歩んでいきたいもんです。

 

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そんな悲しいことが続いたナタリーだけど、孫を抱っこして歌を歌ってあげている姿はとても幸せそうだった。離婚を告げられ母は亡くなり子供達も独立したけれど、好きな哲学を学校で教え、新しい家族だって増えた。何より自由を手に入れた。

タイトルじゃないけど、本当「未来よ こんにちは」でしょう。

自分の描いていた未来とは違うかもしれないけど、これからきっと良いことがたくさんあるよきっと。

 

”人生は欲望があれば幸福でなくとも、期待で生きられます 幸福を手に入れる前こそ幸福なのです”

 

誰の言葉だか分からないけどいい言葉だ。

まだ若輩で人生を語れるほど生きちゃいないけど、死ぬ時に「いい人生だった」と思えるようにはしたい。ナタリーのように、とはいかないかもしれない。けれどとにかく「進もう」と思う。

 

最後に…

ナタリーが映画館で軽くストーカーされ、あげくいきなりキスされたシーン。あれは笑えないというか怖かったよね。ナタリーもあまりに普通だったからビビった。人生何があるか分かりませんな~

 

 

ではでは