山と映画

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映画「モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由」ネタバレ感想:お洒落な大人の恋愛映画。ダメ男ってやっぱカッコいいわ。

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大人の男女の官能的な恋愛を描き、第68回カンヌ国際映画祭でエマニュエル・ベルコが女優賞を受賞、第41回セザール賞主要8部門にノミネートされたマイウェン監督作品。スキー事故で負傷し、入院した弁護士のトニーは、リハビリに励みながら、心から愛したジョルジオとの過去を振り返り、ジョルジオという男はいったい何者だったのか、なぜジョルジオとトニーは愛し合うことになったのかに思いをはせる。10年前、かつて憧れていたレストラン経営者のジョルジオと運命的な再会をしたトニーは激しい恋に落ち、意気投合した2人は電撃的に結婚。トニーは妊娠するが……。主人公トニー役を監督として「太陽のめざめ」などを手がけたエマニュエル・ベルコ、ジョルジオ役を「ブラック・スワン」「美女と野獣」のバンサン・カッセルが演じる。

モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由 : 作品情報 - 映画.com

 

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満足度 ★★☆☆☆

 

さすがフランス、オサレな映画。スクリーンの中の出来事というにはあまりにも生々しい話で男なら割と共感出来ちゃう部分も。トニーの心情を想いながら観ているとこっちも疲れるわ。

 

話はトニー(エマニュエル・ベルコ)の現在と過去を行ったり来たり、画面が切り替わりながら進んでいく。10年前の二人の出会いから描かれているけど、10年という期間の微妙な風貌の違いを上手く出せていて驚く。特にトニー。出会いの時のどこか垢抜けない少女チックな姿と、出産、離婚と経験して一周回って元の少女のような優し気な雰囲気に戻った姿をとても上手に演じていた。

「女優さんってすげぇ」と思った。

 

結局、トニーのようなクソ真面目なんだけど好奇心だけはある女の子がパリピの遊び人に惹かれてしまった挙句、大火傷してしまったよ…っつーのがメインの話。

女、酒、ドラッグと役満なジョルジオ兄さん。そんなダメ男なんだけどとんでもなくセクシーで陽気。このタイプはどこでもモテるだろう。

 

二人が出会ってから間もなくは本当に楽しそうで良いんだけど、いつぶっ壊れるのかハラハラしながら観ていた。で、案の定ジョルジオの女がらみであっさり壊れちゃう。トニーの弟も「あいつは止めておけ」って言ってたのに。関係ないけどトニーの弟はユーモアもあって優しい姉思いのいい奴だよね。

 

この二人は…というかトニーが惹かれちゃったのがそもそもの問題なんだけど、最後のジョルジオに対して聖母マリアのように微笑むトニーを見ていたら、彼女もまんざらでないのかも、なんて思ってしまう。

色々あったけど子宝にも恵まれたし、ジョルジオも子供大好きみたいだし。何年かして子供が思春期にでもなったら、意外とまたトニーとジョルジオはくっついたりするかもしれない。

 

 

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トニーの振り返り映画なのでどうしたってジョルジオは少し悪者に見えてしまうかもしれないけれど、少し遊んだことのある男子諸君ならジョルジオの気持ちが少しは理解出来るんじゃないだろうか。

 

もうね、10年前の出会いの時点で結構いいおっさんなわけだから、トニーもよく考えればよかったんだよね。銀座の某クラブではジョルジオみたいなシャレオツなおっさんが夜な夜な遊んでいるけれど、どの人も「この人仕事何してるんだろ…」みたいな人ばかりだよ。謎の資金力が垣間見えてさ…こええよ。

 

スパッと遊びを止める人も人もいれば、中毒と同じで止められない人もいる。ジョルジオは後者。そんなんトニーも恋に落ちたら気付かないだろうからしゃーないけど。

ジョルジオと出会う前のトニーの旦那さんは、もしかするとめちゃくちゃ真面目な人だったのかもしれないね。だからジョルジオのような正反対のタイプに強く惹かれてしまったとか。

 

でもこういう人に限ってメンタルが弱かったりするね。ドラッグに走りがち。ずっと黙っているつもりじゃなかったにしろ、トニーはショックだったろうなぁ。僕は煙草吸ってる時に同じようなことがあった。「煙草なんて吸ってないよ」って嘘ついて付き合いだして数カ月してバレるという…しょーもない。

でも普段、陽気で明るい人ほどこんな風にどこかで現実逃避していたりすることも多いんだよね男は。「これをやっている時はロクデナシに戻れる、これが本来の自分」って言葉が印象的。わかる。

 

人間自分に持っていないものを持っている人に惹かれ、憧れを抱くもんだね。

ちなみに僕はもうクラブ遊びはしていない。去年、彼女が出来たのと同時に卒業した。

 

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しょーもないところばかりが目立つジョルジオだけど、短い人生を存分に楽しんでいる感があって僕は好き。こういう人と仕事をすると面白いよね。

ジョルジオみたいになりたいか? と言われたら僕はノーだけどイエスと答える人もかなり多いだろう。ある意味、男の理想的な生き方だもん。そりゃあ誰だって奔放に思うままに生きたいさ。まぁこんな生き方や家族の形もあるってことだね。

 

”がむしゃらな愛に失うものなど何もない ただその深みに身を投げるだけ”

 

うん、なんかよく分からんがそういうことらしい。

失いまくっている気がしないでもないけども…

あと、とても印象的だったのが二人の絡み。全然いやらしくないのは何で? 白人様だから? もはや美しいとすら思えるレベル。不思議だわぁ

 

そんな訳で、フランスらしいとてもお洒落で大人な映画でした。

 

 

ではでは