山と映画

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ネタバレ映画感想、登山ネタ中心のお気楽雑記ブログ

映画「T2 トレインスポッティング」ネタバレ感想:「Choose your life!」少し物足りないけど良くも悪くも相変わらずな四人で面白かった!

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1990年代ポップカルチャーを象徴する作品として知られる96年製作のイギリス映画「トレインスポッティング」の20年ぶりとなる続編。かつて仲間たちを裏切って大金を持ち逃げしたマーク・レントンが、20年ぶりにオランダからスコットランドに戻ってくる。そこでは、パブを経営しながら売春や恐喝で荒稼ぎするシック・ボーイや家族に愛想を尽かされたスパッド、刑務所に服役中のベグビーら、当時の仲間たちが未だに悲惨な人生を送り続けていた。主演のユアン・マクレガーをはじめ、監督のダニー・ボイル、脚本のジョン・ホッジら前作のキャスト・スタッフが再結集。

T2 トレインスポッティング : 作品情報 - 映画.com

 

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満足度 ★★★★☆

 

良くも悪くも相変わらずな四人で面白かった。さすがに20年経つと頭皮の後退や皺が目立つけど、その分自分も老けているんだなぁと実感させてくれる。じゃあ中身は? 当時の悪ガキ達はびっくりする位変わっていなかった。20年、散々足掻いてきたんだろうけどまるで成長してない……でもラストシーンに少しばかり光が見えたので満足。

 

T2の公開にあたり改めて前作を見返した人も 多いだろう。それ正解。僕は見返してはいないのでユーチューブやT2関連の記事を読み漁った。なんせ前回が’96年だもの、僕は当時16歳、細かいところはさすがにうろ覚え。鮮明に覚えているのはアンダーワールドの「born slippy」、そして彼らのファッションやカルチャー。レントンが最後に裏切るっつーしょーもない話で面白いのかつまらないのかも判断できなかった。けれどとにかくとんでもなく刺激的でお洒落! てのが僕の抱いていた印象だ。

でも10代のクソガキだった頃に観れて良かったと思っている。上手く説明できないけれど。

 

そんなわけで冒頭ユアン・マクレガーが出てきた瞬間は何だか凄い嬉しかった。そして期待した。「Choose life」と謳い、当時凄く眩しくて自由の象徴のような彼がどんな決断を下していたのかと。結論から言えば少しがっかりした。前作ラストのその後、彼はオランダのアムステルダムで妻と15年の結婚生活を送っていた。そして離婚、故郷へ帰ってくる。裏切った仲間たちと再会するのだが……

 

僕自身レントンに何を期待していたのか分からないが、結局実家に戻り父と抱擁、自室でイギー・ポップのラスト・フォー・ライフのレコードをかけてエンディング。何者かになるか、別の道へスタートを切るエンドかと思ったけど特に無かった。「あぁレントンはこれからこれで生きていくんだ」など、何でもいいから一つ答えが欲しかったというのが正直な感想。

 

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映画「攻殻機動隊 ゴースト・イン・ザ・シェル」ネタバレ感想:スカヨハぽっちゃりし過ぎ、ダンカンこのやろう!シンガポール人トグサ…

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士郎正宗のコミックを押井守監督が映画化したSFアニメの傑作「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」を、ハリウッドで実写映画化。オリジナル作品の草薙素子に相当する主人公の少佐を、「アベンジャーズ」「LUCY ルーシー」などアクション映画でも活躍するスカーレット・ヨハンソンが演じ、少佐の上司・荒巻に、映画監督として世界的評価を受けるビートたけしが扮する。そのほか、少佐の片腕バトー役でデンマーク出身の俳優ピルウ・アスベック、テロ事件を企てる謎めいた男クゼにマイケル・ピット、オリジナルキャラクターのオウレイ博士役でフランスの名女優ジュリエット・ビノシュらが出演。監督は「スノーホワイト」のルパート・サンダース。日本語吹き替え版には田中敦子、大塚明夫、山寺宏一というアニメ版の声優が起用されている。脳とわずかな記憶を残して全身が機械化された、公安9課最強の捜査官・少佐は、全世界を揺るがすサイバーテロ事件を発端に記憶が呼び覚まされるが、そこには驚くべき過去が隠されていた。

ゴースト・イン・ザ・シェル : 作品情報 - 映画.com

 

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満足度 ★★☆☆☆ 

 

完全に別物! 少佐はあんな動きじゃないし荒巻課長もあんな893感出てない。前評判通り原作、アニメファンからすると「oh…」な仕上がりだった。スカヨハは「ミラ? 誰!?」状態、たけしは完全に一人でアウトレイジだった。百歩譲ってバトーはいいとしてトグサに至っては無名のシンガポール人俳優が演じていた。「いやいやトグサこそ日本の俳優を使うべきだろ」と誰もが思ったと思う。

ちなみに僕は漫画原作以外は見ている。一番好きなのは神山版のアニメシリーズ。

 

本国アメリカでは週末3日間の売り上げが1900万ドルと振るわず、無事爆死した模様。原作ファンは世界中にいる攻殻機動隊、特にアメリカでは1996年にビルボードのビデオ売り上げ週間一位も記録している。それだけに実写への期待も高く、鑑賞後にガッカリ……なパターンが多かったのだろうか。

 

映画関連のサイトを覗いてみると、「日本の漫画原作で主人公も日本人なのになぜスカーレット・ヨハンソンなのか?」「白人優位主義の強引な漂白映画」なんて意見も多く、映画そのものよりキャスティングや人種的な問題の議論が過熱していたとか。

制作陣もその辺りのことは加味していたようだけど、原作に忠実に…と、商業的に大衆向けに…というバランスが難しかったみたい。

 

とはいえ、正直まだスカーレット・ヨハンソンで良かったと個人的には思っている。中・韓辺りの女優に草薙素子を演じられる方が凄く違和感を感じるに違いない。「そこまでいったら日本の女優さんで誰かいるだろ!」と突っ込むに決まっている。なんだったらもう桃井かおりでいいよ、なんて具合に。

 

ところで、スカヨハ以外で適役がハリウッドにいたはずなのになぜスカヨハだったのか。草薙少佐とはイメージも肉体的にもあまりにもタイプが違う。少佐はあんなにぷよぷよしていないでしょう。まぁムッチリ感はスカヨハの良いところだもんね、でも少佐ではない。

予告でスカヨハが建物のガラスを突き破って内部へ突入するシーンがあるが、横アングルだったでしょ、しかもスローで撮っていたもんだからスカヨハのぽっちゃりが凄く強調されているよね。あれを見て「うわぁ…」と思ってしまった、というか「あ、なんか違うわ」てなった。

 

それとせっかくの攻殻機動隊で、しかもハリウッド作品なのになんであんなにアナログな動きなわけ? CGでもVRでも使ってもっとシャープな動かし方があったんじゃね?  スカヨハ本人は頑張っていたと思うんだけど、どうしてものっそり、もさっとした動きに見えちゃうよね。そもそも思ったより戦闘シーンも多くなく、激しさも無かったのでその時点で物足りなさはあるんだけれど。

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映画「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」ネタバレ感想:はたしてこの映画から何を受け取ればよかったのか…

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ナタリー・ポートマンがジョン・F・ケネディ元大統領夫人ジャクリーン・ケネディを演じ、ケネディ大統領暗殺事件をファーストレディの視点から描いた伝記ドラマ。1963年11月22日、テキサス州ダラスを訪れたケネディ大統領が、オープンカーでのパレード中に何者かに射撃され命を落とした。目の前で夫を殺害された妻ジャクリーンは悲しむ間も与えられず、葬儀の取り仕切りや代わりに昇格する副大統領の大統領就任式への出席、ホワイトハウスからの退去など様々な対応に追われることに。その一方で事件直後から夫が「過去の人」として扱われることに憤りを感じた彼女は、夫が築き上げたものを単なる過去にはさせないという決意を胸に、ファーストレディとして最後の使命を果たそうとする。共演に「17歳の肖像」のピーター・サースガード、「フランシス・ハ」のグレタ・ガーウィグ。「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー監督が製作を手がけ、アカデミー外国語映画賞候補作「NO」のチリ人監督パブロ・ララインがメガホンをとった。

ジャッキー ファーストレディ 最後の使命 : 作品情報 - 映画.com

 

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満足度 ★☆☆☆☆ 

 

残念ながら自分とは合わなかったよ…アカデミーに3部門もノミネートされている作品なんだし、面白いと感じた人も多いんだろうけども。

 

そもそもジャッキーことジャクリーン・ケネディさんに一切興味がない僕なんかが見ても、心に響くどころかぶっちゃけ退屈に感じてしまうだけなんだよね。映画.comでcheck in数が5000弱あるから面白いに違いないから観てみよう、なんて考えているなら考え直した方がいい。

 

僕がJFKについて知っていることといえば、歴史を振り返るTVでこれまでずっと繰り返し放送されてきている、ケネディ暗殺のあのシーンだ。あとは駐日アメリカ大使でJFKの娘のキャロラインさん。そして歴史上最もと言われるくらい人気があったらしい…とか聞いた程度。

 

この映画を楽しみにしていた人の多くは、きっと女性が多数なんだと思う。ジャッキーを観た感想、というか彼女の印象は確かに力強かった。「強か」とよく表現されているようだけどまさにそれ。正直作品に面白さは感じなかったけど、一人の女性の強さみたいなものは良く描かれていたように思う。

 

時代が時代なので誰かれ構わず煙草を吸うシーンも非常に多い。喫煙シーンが当時のアメリカの高度経済成長を表したものなのかどうかは分からないが、煙草は男の象徴でもある。ジャッキーもガンガン煙草を吸っていたが、あれは彼女の中にある男らしい部分、もしくは毅然さを表現していたのかな? まぁただ単に煙草好きなだけだと思うけど。何吸ってたんだろう。

 

個人的に「へぇ」となったのは物語とはあまり関係ないけど、ホワイトハウスから出ていく準備をしている様子。庶民とあまり変わらないんだなって思った。

だってつなぎを着た引っ越し屋の兄ちゃんが、段ボール抱えてホワイトハウスの中をうろうろしてるんだもの。なんだか微笑ましさを感じたよ。ジャッキーも梱包手伝ったりなんかしてさ。日本の首相官邸なんかもそうなのかね。

 

いずれにしろジャッキーの自伝映画なので、新たな視点からケネディ暗殺を見たということ以外目新しさはない。なので、僕みたいに本当に漠然とした期待だけで鑑賞すると「あ、ふ~ん」で終わるので要注意。

 

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当時のことをググると出てくるが、この頃日本ではテレビが普及し始めていた。そしてテレビが映り始めてから初めての大きな事件がケネディ暗殺だったとか。だから一定の年齢以上の人には強烈にその時のことが焼き付いているとかなんとか。

 

うん、それはもう僕らの世代だとどうしようもないね。「あの頃は懐かしいなぁ」と懐かしむことも出来ないもの。ただね、やっぱり腑に落ちないというか書きながら今も首を捻ってしまうのが結局この映画は何を伝えたかったのか? ということよ。

 

ジャッキーの生き様なのか、最後の葬式なのか、はたまた別のことなのか? ジョン・F・ケネディの生年月日が1917年5月29日で、今年は奇しくも生誕100周年というのも掛けていたり…とにかくよく分からんのがここ。

 

「ジョンの葬式をスペシャルに演出するわ! だって後世にずっと語り継がれていくんだもの!」

「棺と一緒に講堂まで歩くなんて危ない! しかも私達だって危険じゃない! 世界中から要人も来るし」ブチキレー

「やっぱ歩くわ! その方が印象的やん?」

 

メンヘラかよ 笑

でも予告見る限りこの映画はきっとこれを描きたかったんでしょ? ジャッキーの英断で素晴らしい国葬になりました! つって。振り回された周りの人達も大変だよね。

そう考えるとこの映画は一人の女のエゴを描いただけの映画だわ。まぁタイトルも「ジャッキー」だからそれでいいのか。

 

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ともかく、期待値だけで観る作品を決めちゃいけないってことだね。実をいうと僕も本作か「レゴバットマン」のどちらを観ようか少し悩んだ。でもなんか…ねぇ…レゴて。だけど今となってはレゴにしておけば良かったと後悔してる。まぁいい勉強になった。

 

最後にケネディ暗殺のWikiからいくつか写真を掲載

 

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暗殺直前のケネディ大統領夫妻。前列がコナリー・テキサス州知事夫妻。

 

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ダラス・ラブフィールド空港に到着した大統領夫妻(1963年11月22日11時40分)

 

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最初の銃弾が命中し喉を押さえるケネディ大統領。「ザプルーダー・フィルム」から

 

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後方の車からリムジンに飛び移る護衛官のクリント・ヒル

 

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暗殺された直後エアフォースワン内で第36代大統領の就任宣誓を行う副大統領リンドン・ジョンソン

 

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ホワイトハウスの東の間に安置されたケネディ大統領の棺(1963年11月23日)

 

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オズワルドがジャック・ルビーに狙撃される瞬間を撮った写真

 

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国会議事堂を後にして運ばれていくケネディ大統領の棺

 

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ホワイトハウスを後に砲車に載せて行進する大統領の棺

 

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その後を歩いて教会に向かうジャクリーン(中)、ロバート(左)、エドワード(右)の3人

 

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棺に覆われていた星条旗が畳まれジャクリーン夫人に渡されて、枢機卿に謝辞を述べて墓を去るジャクリーン夫人。横にロバート・ケネディ。(1963年11月25日)

 

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暗殺事件から半年後に墓地を訪ねたジャクリーンとキャロラインとジョン・ジュニア(1964年5月29日)

 

相変わらずWikiは読み応えあるわ。暇つぶしにはもってこい。写真を見る限りすごい実物に寄せてるのが分かるね。当時の現場は凄い空気だったんだろうなぁ

 

 

ではでは

 

映画「ハードコア」ネタバレ感想:FPS未経験でも体感できるクレイジーな銃撃戦!好き嫌い分かれるんだろうなぁ…

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サイボーグ化された男性が愛する妻を救うべく壮絶な戦いに身を投じる姿を、主人公の一人称視点のみで描いた新感覚アクション。ロシア出身の新人監督イリヤ・ナイシュラーが制作したプロモーション映像がネット上で大きな反響を呼び、クラウドファウンディングによって長編映画化が実現。2015年トロント国際映画祭のミッドナイト・マッドネス部門でプレミア上映され、ピープルズチョイス・ミッドナイトマッドネス賞を受賞した。見知らぬ研究施設で目を覚ましたヘンリー。彼の身体は事故によって激しく損傷しており、妻と名乗る女性エステルによって機械の腕と脚が取り付けられる。さらに声帯を取り戻す手術に取り掛かろうとした時、施設を謎の組織が襲撃。脱出を試みたもののエステルをさらわれてしまったヘンリーは、超人的な身体能力を駆使して救出に向かう。「第9地区」のシャルト・コプリー、「イコライザー」のヘイリー・ベネット、「レザボア・ドッグス」のティム・ロスらが出演。

ハードコア : 作品情報 - 映画.com

 

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満足度 ★★★★☆ 

 

FPSをリアルで体感しているようでイイね! もっと酔うかと思っていたけどそんなことなかった。そしてロシアらしいエ口グロ映画で個人的には大満足。ヒロインが「マグニフィセント・セブン」ですっかりファンになったヘイリー・ベネットだったので尚更。気になったのはラスボス、エイカンの超能力設定はいらなかったんじゃね? というところくらい。

 

元はイリヤ・ナイシュラー氏という、パンクロックバンドのフロントマンの声掛けがクラウドファンディングサイトにされたのがきっかけなんだってさ。’13年以前からと考えると結構時間かかったんだね。公開が決まった時はさぞ嬉しかっただろうな~

 

そんな話は置いといて本編よ! 96分とやや短めながらもうずっと魅入ってた。冒頭の刃物で人体を妖艶に切り刻んでいくオープニングから「おぅふ……始まったなぁ」と、一気にどんな映画なのかを察知した。このOPの時点で目を背けちゃう人には少しきついのかもしれないね。

 

そんな少しグロいOPから今度はエステル(ヘイリー・ベネット)の登場。美人の白衣姿、そして何故かミニスカのセクシーな格好。そして流れるように始まるドンパチで早速FPS戦闘状態へ突入。冒頭の15分でこれでもかってほどロシアンムービーっぽさをぶち込んでくる。ハリウッドには無い荒廃した雰囲気というかなんというか、僕はこういうのが好きだ。

 

話の本筋は悪党に捕まった奥さんを助けに行くっつー話。途中、自分のクローンを培養しまくっている味方のジミーも登場し、一緒に敵ボスをやっつけに行く。ラスボスは前述したとおりモノに触れず動かせるというサイコ野郎。

でもぶっちゃけた話、ストーリーは割とどうでもよくて一番の見どころはやはりこのFPS視点での戦闘。96分中の殆どを占めているこの戦闘シーンこそがこの映画の真髄でしょう!

 

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映画「暗黒女子」ネタバレ感想:清水富美加と飯豊まりえの圧倒的存在感!リアリティは今ひとつ…

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秋吉理香子の同名ミステリー小説を、NHK連続テレビ小説「まれ」の清水富美加と「MARS ただ、君を愛してる」の飯豊まりえのダブル主演で実写映画化。聖母マリア女子高等学院で、経営者の娘にして全校生徒の憧れの存在である白石いつみが、校舎の屋上から謎の転落死を遂げた。彼女の手には、なぜかすずらんの花が握られていた。真相が謎に包まれる中、いつみが主宰していた文学サークルの誰かが彼女を殺したという噂が流れる。いつみから文学サークルの会長を引き継いだ親友の澄川小百合は、「白石いつみの死」をテーマに部員たちが書いた物語を朗読する定例会を開催。部員たちはそれぞれ「犯人」を告発する作品を発表していくが……。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」など数々のヒットアニメを手がけた岡田麿里が実写映画の脚本を初めて担当し、「百瀬、こっちを向いて。」の耶雲哉治監督がメガホンをとった。

暗黒女子 : 作品情報 - 映画.com

 

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満足度 ★★★☆☆

 

いいね! 面白かった。原作組からはどうなんだろう? アニメ好きとしては今、話題の 清水富美加さんより見慣れている名前、脚本の岡田麿里さんがアニメ以外を初めて手掛けるという方が楽しみだった。そして実写でもやはりマリーはマリーだった。

 

原作がしっかりしている作品は良いね。イヤミスはバッドエンドであればあるほどウケるというけど、本作もいい胸糞だった。特に副会長を演じる清水富美加さん。出家騒動と相まってもの凄い皮肉が効いていた。というか、最初から「お前が犯人なんだろwww」って思わなかった? どう考えても黒幕は副会長しかいねぇ流れ…

 

全体の流れは前会長である「白石いつみの死」をテーマに文学サークルの5人が小説を読み上げていく…というオムニバスだったので観やすかった。

この手の学園モノ、かつ学園内や部室で話が展開されるワンシチュエーションサスペンスみたいな作品は途中で絶対だれる。結論に至るまでがとても長く感じてしまううが本作はそんなことなくラストまで楽しめた。宣伝通り、ラストに向けどんどん加速する映画だ。

 

というか、白石いつみ(飯豊まりえ)と澄川小百合(清水富美加)が強烈だった。きっと数年後、この映画を思い出しても覚えているのはこの二人だけだと思う。本質はエイリアンVSプレデターであるとか、フレディーVSジェイソンと変わらない。ただ少し違うのが、いつみはファッションサイコパスだったのに対し小百合はガチのサイコパスだったということくらい。そりゃあホンモノには勝てませんわ。そしてもう少しグロいと思っていたけどそうでも無かったのは残念。

 

清水富美加さんがどうという話ではないが、やはり騒動とリンクして考えてしまう。「やべえよやべえよあいつどうかしてるぜ…」と思わずにはいられなかった。ある意味キャラ作りもより完璧に仕上がったということか。

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映画「はじまりへの旅」ネタバレ感想:普通ってなに? 何が自分にとって幸せなのか? その一つの答えをキャッシュ一家が教えてくれた。

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ビゴ・モーテンセンが大家族の父親役を演じ、森で暮らす風変わりな一家が旅に出たことから巻き起こる騒動を描いたロードムービー。現代社会から切り離されたアメリカ北西部の森で、独自の教育方針に基づいて6人の子どもを育てる父親ベン・キャッシュ。厳格な父の指導のおかげで子どもたちは皆アスリート並みの体力を持ち、6カ国語を操ることができた。さらに18歳の長男は、受験した名門大学すべてに合格する。ところがある日、入院中の母レスリーが亡くなってしまう。一家は葬儀に出席するため、そして母のある願いをかなえるため、2400キロ離れたニューメキシコを目指して旅に出る。世間知らずな子どもたちは、生まれて初めて経験する現代社会とのギャップに戸惑いながらも、自分らしさを失わずに生きようとするが……。監督は「アメリカン・サイコ」などの俳優で、「あるふたりの情事、28の部屋」で監督としても高く評価されたマット・ロス。第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の監督賞をはじめ、世界各地で数々の映画賞を受賞した。

はじまりへの旅 : 作品情報 - 映画.com

 

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満足度 ★★★★★

 

大満足! ロードムービー大好きな人、全員に観てほしい映画。愛や死、家族、葛藤、決断と色々な要素が散りばめられている。何が自分にとって幸せなのか? その一つの答えをキャッシュ一家が教えてくれた。

 

鑑賞後とても心温まった。ラストがどんな風になるのかとても気になっていたので、キャッシュ一家が家を借り、子供たちは学校へ通うという生活へと一番良い形へとシフトし、幸せそうに終わる最後にはとても満足した。

やわらかい朝陽が射す食卓を一家が囲み、嫌っていたシリアルを食べ、スクールバス待ちの間に宿題、読書をする。特にBGMもないそのシーンは割と長かった。でもその静かな時間が一家の幸せな空気を醸し出していて、とても良かった。あのラストがあったからこそこんなにも心が温まるんだろうと思う。

 

キャッチフレーズのようになっている「普通ってなんですか?」

本当だねぇ、一体何が普通なんだろうね。学校でも社会でも皆と同じようにすることだけが普通というのなら、この一家はとてもじゃないが普通じゃない。じゃあ普通にすることで人は幸せになれるのか? と言われるとそれも違う気がする。

 

それでも”皆と同じようにする普通”も生きていく為には必要だ。ヒッピー系ロードムービーらしく、本作でも世間とのギャップを面白おかしく描いている。ボウドヴァン(ジョージ・マッケイ)、レリアン(ニコラス・ハミルトン)はその度にウンザリしていたかもしれない。年頃の男だし気持ちも分かる。

 

最後は皆、祖父の家に残ってしまうかと思った。特にレリアンは絶対残るのかと。

それでも兄弟姉妹全員、父の元に戻ってきたよね。無くなった大好きだった母の為に一生懸命、遺言通りにしてあげようと考え、父のことも考えた結果だと思う。

誰かが喜んでくれることも自分にとっての幸せの形の一つなんだなと。

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映画「ムーンライト」ネタバレ感想:LGBTQというマイノリティなテーマが今の時代に即していたからここまで大きく取り上げられた気が……

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マイアミを舞台に自分の居場所とアイデンティティを模索する少年の成長を、少年期、ティーンエイジャー期、成人期の3つの時代構成で描き、第89回アカデミー賞で作品賞ほか、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞したヒューマンドラマ。マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは、学校では「チビ」と呼ばれていじめられ、家庭では麻薬常習者の母親ポーラから育児放棄されていた。そんなシャロンに優しく接してくれるのは、近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と、唯一の男友達であるケヴィンだけ。やがてシャロンは、ケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが、自分が暮らすコミュニティではこの感情が決して受け入れてもらえないことに気づき、誰にも思いを打ち明けられずにいた。そんな中、ある事件が起こり……。母親ポーラ役に「007」シリーズのナオミ・ハリス、麻薬ディーラーのフアン役にテレビドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」のマハーシャラ・アリ。プロデューサーとしてアカデミー賞受賞作「それでも夜は明ける」も手がけたブラッド・ピットが製作総指揮。本作が長編2作目となるバリー・ジェンキンスがメガホンをとった。

ムーンライト : 作品情報 - 映画.com

 

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 満足度 ★★☆☆☆

 

言うほどか!? という感じです。ぶっちゃけLGBTQというマイノリティなテーマが今の時代に即していたからここまで大きく取り上げられた気が……

目新しいものは特に無い。これなら闇金ウシジマくんでも読んでいた方が勉強になる分マシじゃね? なんて思いました。

 

「文句なしの傑作」「美しい叙情と深い感情にあふれた名作」「この映画こそが我々が映画を観る理由なのだ」「まさに魔法」

 

……絶賛され過ぎワロタ

僕も予告で何度か見てはいたけど、それだけだとどんな話かイマイチ分かっていなかった。アカデミー賞でララランドを押しのけ作品賞を取ったから、自分の中で凄くハードルが上がっていたんだろうなぁ。

 

話は至ってシンプル。マイアミのゲットー地区でロクデナシの母の元に生まれ育った少年が、近所のプッシャー(麻薬ディーラー)と出会い成長し、イジメを受けていた生徒にリベンジ。たった一人の親友ケヴィン(アンドレ・ホランド)とはホモダチに。

最後はそんなホモダチのケヴィンと再会→ハッピーエンド!? てな感じ。

ようは自分の体を売り、ドラッグもやるような母の元で少し屈折した少年時代を過ごしちゃった子供が成長したらこんな大人になりましたって人間ドラマだ。

 

それ以上でも無いしそれ以下でもない。シャロンのような環境の子はごまんといるだろうし、僕の地元にもいた。シャロンのような環境で育ったからといって皆が皆プッシャーになるわけじゃないけどね。

 

身も蓋もない言い方をすれば一途な純愛の一つの形ではあるんだろうけど、「そりゃあこんな環境で育ったら、こうもなるよ」と。

 

元ネタはタレル・アルビン・マクレイニーっつー戯曲家の戯曲「In Moonlight Black Boys Look Blue(月の光の下で、美しいブルーに輝く)」

このタレルさんと本作の監督バリー・ジェンキンスが共にマイアミ出身ってところから盛り上がって制作した模様。タレルさん、バリー監督の母は共に麻薬中毒者で、半分自伝映画なんだそうだ。ちなみにエグゼクティブプロデューサーはブラッド・ピット

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