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映画「湯を沸かすほどの熱い愛」ネタバレ感想:双葉の熱い生き様に…というか宮沢りえの演技に心打たれる名作映画!

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宮沢りえの「紙の月」以来となる映画主演作で、自主映画「チチを撮りに」で注目された中野量太監督の商業映画デビュー作。持ち前の明るさと強さで娘を育てている双葉が、突然の余命宣告を受けてしまう。双葉は残酷な現実を受け入れ、1年前に突然家出した夫を連れ帰り休業中の銭湯を再開させることや、気が優しすぎる娘を独り立ちさせることなど、4つの「絶対にやっておくべきこと」を実行していく。会う人すべてを包みこむ優しさと強さを持つ双葉役を宮沢が、娘の安澄役を杉咲花が演じる。失踪した夫役のオダギリジョーのほか、松坂桃李、篠原ゆき子、駿河太郎らが脇を固める。

湯を沸かすほどの熱い愛 : 作品情報 - 映画.com

 

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 満足度 ★★★★★

 

いいもん見せてもらいました。ラストに賛否両論ある映画のようだけど僕は好き。余命告知映画のセオリーではないところがいい。鑑賞後少し寂しく、でもとても清々しい気持ちだったのも良かった。

 

上映開始から約半年、最新作では無いけれど劇場で観ることが出来てよかった。話は予告通り、余命宣告を受けた双葉(宮沢りえ)が残りの時間で「死ぬまでにするべきことがある」と奔走する物語、いわゆる終活。この終活っぷりが何とも痛快で感動する。

 

割と序盤で双葉が余命宣告を受けるのだが、僕はもうすでにこの辺りから泣きそうだった。こういうストーリーだと分かってはいるのに。宣告を受けてからの双葉の動きは早かった。出ていっただらしない旦那(オダギリジョー)を連れ戻し、学校でいじめられている娘の安澄(杉咲花)に勇気を与え、安澄の生みの母親へ一緒に会いに行く。

 

見方によっては双葉の行動が強引で、やり過ぎのように見えるかもしれない。「旅行へ行こう」と安澄の生みの母の元へ行き、思わず手が出てしまう双葉。双葉の実の母の家で投石もした。でもしゃーない。こうなった以上それが一番なのだ。いつまでも秘密にしておけるものでもないだろうし最後位、感情に素直になってもバチは当たらない。一番混乱したのは安澄だろう、いきなり妹は出来るし母双葉は余命わずか、しかも本当の母が別にいる。さらに学校ではいじめられているというおまけ付きだ。

 

でも安澄はそんな母の気持ちを泣きじゃくりながらも、しっかりと受け止める。制服を隠された翌朝、ベッドから出ない安澄を無理やり起こし「逃げちゃダメ」と双葉が叫ぶシーンはとても印象的だった。ここから安澄は逃げずに立ち向かうようになる。

そんな安澄を家の外で待ち、「頑張ったね」と抱きしめる双葉。母の愛を凄く感じた。

 

 

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思えばこの家族、鮎子(伊東蒼)と一浩(オダギリジョー)以外、血の繋がりが無いんだよね。一浩と鮎子も本当の親子なのか定かでは無いけれど。そう考えると双葉は凄いなあと思う。そして双葉のようなしっかり者の旦那ってのは何故いつもだらしないのか。これは実社会でも割と言えることだよね。不思議。

 

でもオダギリジョーだからなのか役柄なのか分からないけど、決して悪い旦那じゃない。憎めないキャラだ。そしてこの人はこういう役が凄くハマっている。つまりオダギリジョーだからこそなんだろうね。とにかくダメな旦那の放つゆる~い雰囲気が重たい話に癒しを作っていた。双葉亡き後が心配だけど、安澄がしっかり双葉の魂を受け継いでいるので心配ないか。

 

ラストはまさかのタイトル回収。すっかりタイトルのことなんて忘れていたので「なるほど!」と納得した。あれは家族以外には秘密にせざるを得ませんわ。火力とか足りてるの? と少し心配になったけど細かいところは気にするのは野暮だ。なんせ「湯を沸かすほどの熱い愛」なのだから。

 

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タイトル回収とはいえベタな展開に思わず笑ってしまう人もいるかもしれない。もしかしたらドン引きする人だっているだろう。でもそういうのもひっくるめてこの映画だね。設定だけ見りゃ、そりゃあ泣かせにきている映画でしょう。でもそれだけでなく凄くポジティブな気持ちになれたのは、宮沢りえをはじめとする女優陣の演技が熱かったから。そしてどこかのんびりした気持ちになったのは、オダギリジョーとこのオチがあったから…かな。

 

時間が経てばきっとまた観たくなる映画だと思う。そしてまた鑑賞後、清々しい気持ちになるのだ。今日は久しぶりに銭湯にでも行こう。

 

 

ではでは